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7. 歯周病とラクトフェリン  前章目次次章
7-1 「8020運動」 7-2 歯の喪失と痴呆 7-3 歯周病は日和見感染症
7-4 ラクトフェリンは歯周病による炎症、浮腫を改善する 7-5 日和見病原菌の排除
日和見感染症としての歯周病に対するラクトフェリンの応用
「8020運動」
 歯周病は成人のほとんどが罹患する感染症でありながら、保健衛生上における重要性が正しく認識されていません。第三章で述べられたように、ラクトフェリンは実験的な日和見感染症に有効であり、いろいろな応用の場が考えられます。口腔には300種類以上の微生物が定着しており、宿主の免疫能とバランスを保ちながら口腔細菌叢とも云うべき共同体をつくっています。それらは必ずしも善玉ばかりではありません。宿主の免疫能が低下すると、侵入して歯周病を起こす日和見病原菌群も含まれています。今回は日和見感染症としての歯周病に対するラクトフェリンの応用に焦点を当ててみました。
 皆さんは8020運動をご存知でしょうか?"8020"は"ハチ・マル・二イ・マル"と読み、 "80歳になっても20本以上自分の歯を保とう"という運動です。平成元年、厚生省(現・厚生労働省)と 日本歯科医師会が提唱し、自治体、各種団体、企業、そして広く国民に呼びかけ、平成12年には運動を推進する(財)8020推進財団が結成されました。なぜ、8020なのでしょうか?その理由は、親知らずを除く28本 の歯のうち、自分の歯が最低で20本以上あれば、食物をおいしく食べられるからです。年をとるほど、生活に占める食の比重は増して行きます。自分の歯が20本以上ある人と、19本以下の人とでは、食事の内容や咀嚼機能の満足度に大きな差があることが判っているのです。
図1 歯周病の発症率 平均的な日本人は80才を越えると自前の歯は僅か7本、半数が全歯を喪失し総入歯なしには食物の咀嚼もままなりません(図1)。成人が歯を失う一番の理由は歯周病によるものであり、歯を喪失するほど痴呆とか寝たきり老人になり介護の手を患わす確率が高まります。ヒトの老化には大きな個人差がありますから、老化は加齢とともに訪れる自然現象ではありません。老化が病気であるとは言い切れませんが、幾つかの老化促進因子があることは確実です。なかでも脳の老化、すなわち、痴呆を促進するのは歯の喪失が危険因子と考えられています。いずれにせよ、老化を遅らせ、健康で人生をエンジョイできる期間を延長することは、個々人にとって重要なだけではなく、これからの日本にとって必須です。2065年には三人に一人が65歳以上の高齢者になり、女性が生涯にわたり産む子供の数が1.3人を切る現実をわれわれは直視しなければなりません。生産人口を維持するには、元気に人生と仕事をエンジョイできる期間を延長し、職場に80才の高齢者も珍しくない世の中になる必要があるのです。医療費を無制限に膨張させずに、超高齢社会の生産人口を維持する手だてがあるでしょうか。
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