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ラクトフェリンはヒトの血清総コレステロールを低下させる
図3はボランティアーにラクトフェリン腸溶錠を 4週間投与した際における血清総コレステロールの変動を示します。血清総コレステロールのレベルが 200 mg/dlを越えた 6人では 4週後には低下しました(P<0.005)。つまり、ラクトフェリンは血清コレステロールが正常域の場合には低下させないが、高値の場合には有意に低下させます。
余談ですが、白人のコレステロールに対する恐怖心は、われわれの想像を絶しています。北欧人の約七割が冠動脈硬化による心臓病で死亡するのですから、彼らの子孫であるアメリカ人がコレステロールを怖がるのも無理ありません。そのためスタチン系と言われる血清コレステロール低下剤は、予防薬でありながら米国だけで年間売上が二兆円を超えるクスリの王様です。
20年ほど前まで動脈硬化は"コレステロール蓄積により動脈壁に生じた粥腫(アテローマ)が盛り上がり動脈を閉塞するために起こる"と考えられていました。ところが最近になって図4のように"粥腫の血管内血管が炎症のために破綻・出血し、血液が凝固した血栓が動脈を閉塞するために起こる"と修正されたのです。
図5に血管障害の危険因子である高コレステロール血症を X軸、慢性炎症の指標であるCRPを Y軸、心筋梗塞・脳卒中などの血管障害が発症するリスクを Z軸にとり、三者の相関を示したのが図5です。正常値のリスクを 1として、危険因子が単独の場合、血管障害のリスクは最高の高コレステロール血症で 4.2倍、CRPが最高の場合でも 2.2倍に高まるだけです。しかし、両者が重複すると危険率は 8.7倍に急上昇します。
もともと欧米では冠動脈硬化による虚血性心疾患の治療・予防にアスピリンに代表される血小板凝集阻害剤が用いられてきました。図5は米国における疫学調査がもとにしているので、脳卒中のリスクも高コレステロール血症、慢性炎症と相関しています。昔の日本のように低蛋白食、食塩の多量摂取が脳卒中を多発させていた頃は、高血圧が脳卒中の最大の危険因子でした。高血圧により誘発された脳卒中も、血圧上昇による脳血管内皮のtight junction破綻、それに伴う血漿成分の動脈壁しみ込みにより誘発される炎症が引き金になっているので、脳卒中発症に血管炎症が関与していることも確実です。 |