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4. ラクトフェリンとガン  前章目次次章
4-1 感染防御 4-2 ガンの化学予防 4-3 発ガン抑制の仕組 4-4 転移抑制効果 4-5 発ガン予防因子
ラクトフェリンは異物認識を高めます。ガン抗原に対してはどうでしょうか。
ラクトフェリンと感染防御
 わが国における死因の第一位は癌であり、癌の発生、転移、再発に対する予防法の確立は重要な課題です。そこで今回はラクトフェリンとガンとの関係を採りあげることにしました。前章の"ラクトフェリンと自然免疫"では感染実験の結果からラクトフェリンは(1)自然免疫の賦活因子と考えられること、(2)単に自然免疫を賦活するだけでなく獲得免疫の活性を増幅していること、(3)その結果、実験動物における弱毒性の病原微生物及びウイルス(病原体)による感染症を防御すること、(4)無菌マウスの寿命を親であるSPFと比較した実験から、生体における弱毒病原体の増殖に伴う炎症は、老化、発ガンと慢性病発症の原因と考えられること等々をご説明しました。ラクトフェリンはヒトに持続感染している弱毒病原体(日和見病原体)による炎症を抑制すると考えられるので、老化を抑制し健康で働ける期間を延長する可能性があります。
 図1はラクトフェリンが感染防御にどうかかかわっているか、実験データから考察して示しました。
図1 ラクトフェリンの感染予防効果

図1に示す異物は、病原微生物あるいは病原ウイルスが感染した細胞です。どうやら、ラクトフェリンは抗原提示細胞の抗原認識を賦活し、異物を貪食する際に放出するインターロイキン-18、インターフェロン-γにより好中球、ナチュラル・キラー細胞(NK)を活性化し、さらに所属リンパ節に流入した抗原提示細胞が抗原情報をヘルパーT細胞に提示し、キラーT細胞が増殖する過程を強化しているようにみえます。それではラクトフェリンがガン抗原の異物認識を高めるでしょうか。
 ラクトフェリン研究のなかでもっとも進んでいるのは、国立がんセンターによる"ガンの化学予防"といわれる領域です。ガンが免疫的に異物かどうかについては議論が分かれるとことです。もちろん、同系(syngenic)マウスの移植ガンが、免疫的に排除されたという論文はたくさんあります。同系マウスは一卵性双生児と同様お互いに遺伝子が同じですから、免疫系は自己から生じたガンも異物として認識している、つまり、ガンには異物として認識される抗原があるという証拠になっています。しかし、抗原認識を受け持つ樹状細胞の受容体(Toll-Like Receptors: TLR)が認識できる抗原は決まっています。ガンのように自己から発生し、抗原が千変万化する自己の細胞を異物として認識できるかどうかについては疑問があります。
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