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2. ラクトフェリン腸溶製剤の開発  前章目次次章
2-1 タンパク質医薬  2-2 乳児の胃   2-3 離乳後の胃  2-4 吸収・代謝をめぐる混乱  2-5 腸溶製剤 
ラクトフェリンは母親が愛児に与える天然の生体防御物質です。
 ラクトフェリンは図1に示すように「免疫賦活作用」、「鎮痛・抗ストレス作用」、「脂質代謝改善と基礎代謝昂進」等々、優れた効能・効果を持ちながら、素晴らしさが世の中に認識されていません。それは経口投与したラクトフェリンの吸収・代謝を巡り混乱した状態が続いているからです。この章では混乱の原因と腸溶製剤の必要性を説明します。
図1 ラクトフェリンが有効な疾病の例

タンパク質医薬
 昔から日本には清酒、醤油、味噌など発酵食品製造の伝統があります。これらの食品が如何に優れていたかは、醤油が欧米の食文化に定着し、スーパーマーケットの定番商品になっていることからもわかります。その源流が中国南部の照葉樹林地帯にあったとしても、現在のような洗練された食品に仕上げたのは、我が国固有の文化的伝統でした。この発酵食品の伝統は、医薬品産業にも生かされています。古くは滞米中の高峰譲吉博士が着目したのは、清酒醸造に使われる麹の消化酵素でした。清酒醸造は麹カビがつくる消化酵素を巧みに利用する産業で、米飯に多量のアミラーゼ、プロテアーゼを含む麹を混ぜデンプンとタンパク質を分解します。消化剤として一世を風靡したタカジアスターゼは、清酒醸造の伝統なしには考えられませんでした。この伝統は現在でも生きています。例えば、世界でもっとも売上高が大きい医薬品は、人体用が血清コレステロール低下剤"スタチン類",動物用がイヌのフィラリア治療に使う"イベルメクチン"ですが、双方の起源が日本で発見された発酵生産物にあることは意外と知られていません。また、臓器移植時における拒絶反応を抑制する"タクロリムス"も、国産の発酵による薬剤です。
 一方、我が国ではタンパク質を広義のクスリとして活用してきました。例えば、昔は風邪をひくと清酒に生卵を混ぜた"月見酒"を呑む習慣がありました。月見酒は今日から見ても驚くほど合理的です。アルコールは体を温めてくれますし、卵白には溶菌酵素であるリゾチームとニワトリのラクトフェリンに相当するコンアルブミンが多量に含まれているからです。今日、多くの総合感冒薬にリゾチームが含まれていることからも月見酒の有効性は明らかでしょう。それではラクトフェリンではどうでしょうか?成人がラクトフェリンを経口摂取し、赤ちゃんと同じ効能効果を発揮させるための前提を考えてみることにします。
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